早慶附属高校に独学で合格できる?塾講師が本音を激白

こんにちは。某進学塾で早慶附属高校受験クラスを担当している講師のナナです。

実は、このブログでたくさんのメッセージをもらってます。その中で特に多いのが、「独学でも早慶附属高校に合格できる?」ってもの。一つひとつ回答するよりは、こうやって記事として公開したほうがいいかなと思いました。

ということで、ブログという匿名性ゆえに可能な塾講師の本音を書いてみたいと思います。

早慶附属高校に独学?で合格した事例

まずは結論から。

独学でも早慶附属高校に合格することは、可能性は極めて低いものの不可能ではないと思います。

私は実際、それに近い生徒をこれまで2名見てきました。そういった生徒について、個人が特定されない範囲で書いてみます。

A君の場合:独学で駿台模試・SAPIX公開模試で偏差値70超

この子(以下「A君」とします)は、中3の冬期講習から私の勤める塾に入りました。直近の駿台模試とSAPIX公開模試で偏差値70超という成績(3教科)を引っ提げて。

ちなみに、A君にとって私が勤めている塾が人生初めての学習塾。しかも、通信教育すら受けていない。つまり完全な独学とのこと。

私が担当した12月中旬からの1ヶ月半は、時期的に演習中心の授業。その演習でA君は、早慶附属高校受験クラス内でも上位の成績をとっていました。実力は本物だったわけです。

そしてそのまま受験した早慶附属高校に全勝し、進学していきました。塾としては、「合格実績、ありがとうございました」という感じでしょうか。

おそらくA君は、私の塾に入らなくても早慶附属高校に合格できたと思います。そういった意味で、「ほぼ独学」と言ってもよさそうですよね。

「ほぼ独学」のA君。後で知ったのですが、裏があったんです。

早慶附属高校合格後、A君のお母様が挨拶にいらっしゃいました。そこで判明した事実。A君は、たしかに塾には通っていなかったものの…

実はA君のお父様、超有名進学校の教師。で、A君に対して幼少のころからマンツーマンで教えていたとのこと。最強の家庭教師が時間無制限で教えていた、ということですね。

A君が中3の12月に私の塾に来たのは、主に情報収集のため。受験は情報戦の側面もありますからね。お母様とお話ししていて、「やっぱりそうだったんだ!」と思いました。

つまりA君、塾に通った期間は短かったものの、独学ではなかったということです。むしろ、塾よりもはるかに手厚い指導を受けていたと言っていいでしょう。

B君の場合:独学でVもぎ偏差値70弱

もう1人の生徒について紹介します。

この子(以下「B君」とします)は、入試直前の1月から入塾してきました。直近のVもぎは偏差値70手前。ちなみに、駿台模試などの難関私立向け模試は受験したことすらありませんでした。

部活の関係で塾に通うことができず独学のまま受験しようと考えていたものの、さすがに不安になり入試1ヶ月前に入塾したそうです。

早慶附属高校を目標にしていましたが、私の塾ではVもぎで3教科70手前の偏差値ではかなり厳しいという判断。早慶附属受験の最上位クラスではなく、2番目のクラスに入ってもらいました。

そこで1ヶ月間、私たちはB君に対して、彼の第1志望である慶應義塾高校だけに照準を合わせた指導をしました。結果、慶應志木、早大本庄、慶應義塾、早大学院といいった早慶4校を受験し、慶應義塾1つのみ合格。これがダメなら押さえの高校しかなかったため、薄氷の勝利でした。

入試直前の1月まで塾に入らず独学で頑張ってきたということで、B君も「ほぼ独学」と言えるでしょう。平易かつ一般層が受けるVもぎとはいえ、偏差値70近くを独学でとるというのは、とても頑張ったんだと思います。

ですが、残りの1ヶ月で私たちが慶應義塾1校に絞った対策を徹底的に講じたという事実があります。自画自賛になってしまいますが、これがなければA君の慶應義塾合格は厳しかったかもしれません。

早慶附属高校に独学で合格できる?

私はこれまで数百名の早慶附属高校合格者を見てきましたが、このように完全独学で合格できた子はいませんでした。

ですが、可能性としてはゼロではないかなと思います。注目したいのは上記B君です。

独学でVもぎで偏差値70弱というのは、不可能ではありません。学校の授業をまじめに受けて、毎日予習・復習を欠かさず行っていれば、独学でもそのあたりの成績をとることは可能です。

でも、早慶附属高校の入試問題はそんなレベルではないです。早慶附属高校の英語は英検2級~準1級レベル、国語は大学入試レベル、数学は中学範囲ををはるかに超える難度です。

ということで、Vもぎ偏差値70程度では当たり前のように落ちてしまうのが早慶附属高校なんです。

ですが、B君の例があります。可能性はゼロじゃない。

Vもぎ偏差値70弱(学校の定期テスト1桁)は大前提になりますが、1点突破を目指して、出題頻出単元の演習と過去問を、シャーペンを持つ指が折れるまでやりこむ。独学でこのような数ヶ月間を過ごせれば、もしかしたら奇跡が起きるかもしれません。

まとめ:早慶附属高校に独学で合格できる?

ここまで見てきたように、完全独学で早慶附属高校に合格するのは、かなり厳しいです。

塾に通っていないから独学というわけではないからです。通信教育、家庭教師、(A君のような)親御さんによる指導などもありますからね。

しかし、絶対に不可能というわけではありません。B君の例がありますし、私が知らないだけかもしれないからです。

ご家庭の事情があるとは思いますが、もし本当にお子様が早慶附属高校に行きたいと言うのであれば、何らかの教育を加えてあげた方がいいかなとは思います。